帰り道。
彼のことが頭から離れなかった。怒りはすぐに消えていた。どんな職業なのか、趣味は何か、家族構成は、生い立ちや過去の事。勝手に想像していたが、いつの間にか自分のことを振り返っていた。 |
| ある事を思い出して愕然とした。フランダースの犬。二十代も終わりの頃、姪っ子と見たアニメ映画。私はボロボロと涙を流したのだ。あきれるほどの感受性が、私にもあったのだ。仕事を重ね、少しばかり世間が広がり、立ち回る術を覚え、喜びや悲しみを押し殺してきた自分に気がついた。今日一日以上の疲れを感じた。 |
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辺りは夕闇に包まれていた。自宅間近の信号待ちで、閉店したコンビニの隣に不思議な光を見た。一軒の店の灯りだが、あみだ目のガラス棚にかざられた数個のステンドグラスのランプ。所々につけられたスポットライト。その奥に壁掛けモニターが、どこかの夜景を映し出している。新しくて温かくて、力強くて優しい光。 |
| 信号機の下に佇んで、しばらくの間見ていた。得体の知れない、でも輝くものが胸を満たして、ついには溢れ出してきた。私はほんの少し涙を流し、ほんの少し微笑んだ。 |